「自分のことは棚に上げて」「どの口が言う?」どう言う?
前回は、自分が言うつもりの言葉を相手に先に言われてしまった時の表現、「それはこちらのセリフ」の決まり文句でした。
文面は「それは、私のセリフです」なので、ネガティブな場面が多いだろうけども、ポジティブな意味にも使えるということでしたね。
さて、今回は、前回の表現にちょっと似ているのですが、おおよそ、ネガティブな意味にしかならない口語表現を見ていきます。
厚顔無恥で、無神経な物言いに対する返事ですね。
所謂、ネットスラングで言うところの「おまいう」ですな!
ああ、でも、もっちろん、ツッコミとしては明るく使えますよー。盛大なブーメランに対して、突っ込んであげてください!
日本語にすると、とても沢山思いつく(沢山思いつく自分にちょっと複雑な思い・・。はは)のですが、「自分のことは棚に上げて!」「鏡見たら?」「どの口が言うかね?」「あなたにだけは言われたくない」「よく言うわ!」「あなたに言う権利/資格ない」「お前が言うか?」「お前が言うな!」「よくもまあ、いけしゃあしゃあと喋るもんだ」「よりによって君が言いますかね」等ですね。(ああ、恐ろしい、キリがない。まだまだ思いつく・・・。)
日本語と同じく、英・独語とも、色々言い表せますが、口語でよく使われる表現を厳選します。
では、行ってみようー。
Look who’s talking!
You are (a fine) one to talk!
多いのは、最初の表現の方かなー、と思います。いずれにせよ、皮肉たっぷりの表情とイントネーションでどうぞ!
Das musst du gerade sagen!
Das musst ausgerechnet du sagen!
ドイツ語も、スタンダードな表現から、口語・スラングまで実に様々ありますが、沢山ある中から口語表現を2つ挙げてみました。
で!
ちょっと、語順に注目してみてください。まずは、どちらも、Das が頭にきてますね。
勿論、Du musst das gerade sagen. とも言えますが、Das を頭に持ってくることによってより強調されて、いかにも、おまゆう!に近くなります。
言う時も、是非 Das の部分を強調してくださいまし。musst の前に一呼吸置くと尚ヨシ!そんでもって、du も強調すべし!
するってーと、カンペキ。
次に、以前ご紹介した ausgerechnet を使った文の方ですが、普通であれば、最初の例のように Das musst du の語順になりますよね。
でも、よりによってあなたが!と du に ausgerechnet を掛けたいので、du の前に来る必要があります。
一番目の例のように、見慣れた語順の、Das musst du ausgerechnet sagen. などとすると、du はすっかり放っておかれて、「よりによって言う」などと、sagen に掛かってしまい、変な文章になってしまいます。
その点だけ、お気をつけあそばせ。
Das musst du gerade sagen! / Look who’s talking!
痩せたら可愛いんだから、ダイエットしたら?
Das musst du gerade sagen!
その他自省を促す表現
それではついでに、もうちょい賢く聞こえる(!?)表現も見てまいりましょう!
- in den Spiegel schauen/gucken
英 look in/into the mirror
日 鏡を見る
スバラシイ!日英独皆お揃い。
実際に鏡を見るという本来の意味以外に、比喩的に(皮肉で・・)使うのは海を隔てようとも同じようであります。
面白いですよね。
例
- DU solltest mal in den Spiegel schauen.
英 It’s you who better take a look in the mirror.
日 鏡を見るべきは、あ・な・た。良くもまあ自分のことは棚に上げて。
次に、もっと賢く聞こえる(かもしれない)表現。
- sich(Dat) an die eigene Nase fassen
独 elbstkritisch sein
英 touch one’s own nose(直訳)
日 自省する。
鏡で見る、の次は、鼻を触る、でございます。
鏡と違ってこのお鼻を使った表現は、ドイツ語のみです。英語ではただ単に物理的に自分自身のお鼻を触る/掴むという意味しかないと思います。
日本語にしても然り。
さてさて、このイディオムがどこから来たかと言いますと・・。
その昔、ノルマン(ノーマン)人の間で他人を不当に侮辱した際には、公衆の面前で自分の鼻を摘まんでその侮辱した内容を取り消さなければならかったらしいんですね。
(そもそも何で、鼻を掴んでなのか・・、ということに関しての説明は、私はまだみつけられておりませぬ。見つけた方は、一報望む!っつか、鼻を掴みながら訂正したら、余計に馬鹿にしとんのか!って感じ・・。)
ま、そんなこんだで、自省の意味のイディオムが誕生したわけです。
例
- Manchmal müssen wir uns aber auch an die eigene Nase fassen.
英 Sometimes we are in no position to criticise.
日 時に我々は、他を批判する立場にない。
ちょっと、方向を変えてみるとおなじ「おまゆう!」でも色んな表現方法が出てきて面白いですね。
では、また明日!Mach’s gut!
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